第10回 JESC スキー技術選詳報

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更新日 2016-12-15 | 作成日 2008-05-17

雨の前日・・・ そして予選

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 大会前日、白樺高原スキー場は大雨に覆われた。今シーズンは暖冬であったが、大会直前の大雨にゲレンデの雪はゆるみ、それどころか大会バーンそのものの確保も危ぶまれるところであった。
 そして前夜、明け方から気温が下がり、雨は雪に変わり、アイスバーンの上に新雪が積もった。この新雪が選手達の足下を救う。大会前から大会中まで、全て暖冬が選手達を苦しめるそんな展開であった。
 また10回の開催の中で、今回初めてコブ斜面種目の無い技術選になった。
DAISUKE.JPG久々エントリーの山口 降りしきる雪の中、予選が始まった。例年なら一面にコブが広がるホワイトホースコースを用いての、大回りと総合滑降(フリー)の2種目。この2種目で一部、二部が振り分けられる。また予選の点数の50%が決戦にも持ち越されるため、上位進出を狙う選手達に取っても、気を抜くことができない状況であった。
 予選2種目を終えた段階で、山村がいきなりYAMAMURA2.JPG脚部のストロークを魅せた山村トップに躍り出た。彼は大回り系を得意とする選手。特に今シーズンは谷周りから板に運動を仕掛けていける脚部のストロークが良い感じにまとまっている。また小回りが予選に無かったことも彼の順位を押し上げる結果になった。昨年優勝の金内、リベンジを狙う大沢も僅差でしっかり予選上位を確保した。
 女子は清水と西村が1点差で1部進出を決め、熱き女の戦いもヒートアップ。ここ数年希に見るデッドヒートが男女共に繰り広げられていた。
 予選が終わった時、特にボーダーにいた選手達はみな色んな思いで、結果を見ていたことだろう。しかしそんなことに感傷的になっている暇はなかった。さらに雪は降り続き、ゲレンデは荒れ具合を増してくる。選手達はそれぞれの決勝へと気持ちを切り替えていた。

二部決勝


TAKAHA.JPG山口さやかの柔らかい滑り二部の決勝は全て予選と同じバーンを用いて大回りと小回りが行われた。斜度こそナーバスになるものではなかったが、足下にたまった柔らかい雪と、視界の悪さが選手達を慎重にさせてしまう。
 その中でも積極的に攻めたのが山口さやかだった。大回りでとても柔らかな操作を魅せた。次の小回りでも安定したスキー裁きと、適度なスピード感で審判にある種の安心感を与えた。その後を、昨年は1部に進出した中村、そして目崎が追う形になったが、中村の場合MEZAKI.JPG攻める目崎はスピード感に乏しく、目崎の場合はややクラシックな脚部操作が板の無駄なエッジング操作を招いてしまったようだ。こういった柔らかい雪の中では、極端に強いエッジングは必要なく、比較的力を抜きながら滑った選手には良い点数が出ていた。
 その他にも前日飛び入り参加の徳久が堅実にまとめ、先週に2級を取ったばかりで波にのる松井が切れのよいショートターンを見せくれた。山村の友人の加藤も初出場ながら、腰高のポジションの滑りでまとめてきた。例年になくフレッシュな二部の決勝となっていった。
NAKAMURA.JPG守りすぎた中村










1部決勝


OSAWA.JPG大沢の柔らかな小回りken.JPG対軸を使った金内のロング1部の決勝は、大回り、小回り、そしてフリーと全種目サラブレッドコースの下部の壁を用いて行われた。堅くしまったバーンの上に新雪が積もり、かつ一般スキーヤーが多く滑ったことで、ゲレンデには雪のたまり場があちこちにできるハードな状況。
 そんな中で種目ごとに順位が変わる実に面白い展開になった。予選一位の山村は大回り系の全種目で大沢、金内に僅差を着けてラップを取るが、鬼門の小回りで大きく点数を落とし結果的に3位に甘んじてしまった。そうなると、柔らかい雪の中でオールラウンドに点数をとれる金内が優位に思えたが、今年の大沢は違っていた。実になめらかで余裕のある滑りを演じてきたのだ。特に小回りでの柔らかなストックワークに彼自身の今シーズンの大きな成長を感じることができた。金内も対軸をきれいにつかった大回りで高得点をたたき出すが、荒れたバーンに幾分ナーバスになってしまった感があり、大沢を追撃するまでには至らなかった。全種目を終えた瞬間、大沢が見事に昨年度のリベンジを果たした。得意のコブ斜面の無い中での優勝は彼にとって大きな自信になったことであろう。

simizu.JPG女子優勝の清水nisimura.JPG惜敗した西村
 そして注目すべきは女子の優勝争いだ。清水、西村一歩も引かぬ激戦。予選での点差は1点。どちらかがミスした方が負け。そんな中でも清水が気持ちを強く持って攻めた。大回りでも対軸をうまく使いスピードをアピールする。若干荒れたバーンを攻めきれなかった西村が出遅れたが、小回りで清水がまさかのバランスミス。これで勝利の女神は西村に微笑んだかのように思えたが、最後のフリーで開き直った清水が最後まで攻めることを止めず、見事に女子チャンプの座を手にした。

 第10回JESC技術選は男女共に最後まで白熱した戦いが繰り広げられ、まさに第10回にふさわしい大会になった。
 閉会式でリボンのたくさんかけられたトロフィーを見て、その歴史の深さにある種の重さを感じた。そしてこの大会がこれからも数々の歴史を刻んでいくことを予感できる幕切れであった。

(YW記)

技術選の詳細結果はこちら→2010 GISEN RESULT

ニューフェイスPHOTO

MATSUI.JPG松井の積極的なショート
KATOH.JPG加藤のロング
SUMIE.JPGママさんスキーヤーの徳久

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